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- Asei Fragments -

蛙声 ASEI
小片集

安らぎとくつろぎの
フラッシュストーリーズ。

─ 掌編・ショートショート・& ─

category 01
子供~大人向け小片
「安」

蛙声の中心的テーマの掌編です。ショートショート的な落ちは無く、むしろ一番大人向けですが、子どもたちにも何か感じてもらえると嬉しいです。子供向けに、考えるヒントになるようなことを付けている作品もあります。

category 02
大人の暇つぶし小片
「以」

このカテゴリーは、子供も楽しめるかもしれない、大人向けのショートショートになっています。深い意味はありません。大人の方には、ちょっとした暇つぶしに読んでいただければ。

category 03
大人向け小片
「由」

このカテゴリーは、風刺的テーマや、抽象的テーマを、ショートショート的分量に纏めて書いています。子供はちょっと混乱するかもしれません。蛙声作品をもう少し読んであげようという優しい大人の方はよろしくお願いします。

category 04
ショートエッセイ
「察」

作者・蛙声が綴る、普段考えていること、作品にしたいけどならない種、などなど、短いエッセイや、思索ノートです。

はじめに

こちらは、作者 蛙声(あせい)の仮想空間です。流行りのVRチャットで言えば、ワールドのようなものです。アップしている作品と、このサイトそのものは、一からすべて手作りです。新しく手に入れたこのワールドで、ちょっと自由な思索や散策をしてみたいと思っています。暖かく、見守っていただければ幸いです。もし作品を読んで、私もそう思う!面白かった!と少しでも思っていただけたら嬉しいです。

朗読機能(速度調整付)について

各作品ページには「朗読」ボタンが付いています。今のところまだ機械音声なので聞き取りにくいかもしれませんが、目で読むのが面倒なときは、是非お試しください

category 01
「安」子供~大人向け小片

タイトル
文字数
概要(AIによる寸評)
サンタの正体
1068
サンタはどこにいるの?という問いかけに対して「最高の安らぎと高揚感を与えてくれるのが本当のサンタ」という視点の反転を描く。人生の幸福とは何かを深く洞察した、哲学性に富む最高の作品。
分身
658
母の「あなた達が死んだら私も死ぬ」という言葉の真意が、数十年の時を経て突然つながります。愛と遺伝子を通じた存在の連続性を描き、死生観に深い安心をもたらします。
島根の墓
1478
一族の虚栄と、それを飲み込む自然の力を対比させた壮大な掌編。巨大な墓が茂みに消え、魂が小さな位牌に安んずる結末は、人間の営みと時間の普遍的な真実を深く問いかけます。
トゲ人間
815
他人の内的な痛みを「トゲ」として視覚化する異色の設定。優しさから行った行為が、かえって事態を悪化させる皮肉を通じて、真の共感とは何か、安易な介入の難しさを鋭く考察します。
無垢
512
悲劇的な結末を予感させる構成が秀逸です。悪意なき「善意」が残酷な結果を生むことで、無垢な行為の裏側に潜む破壊性と、理性の届かない領域を問いかけます。
せんべい布団
1350
座布団の視点から、家族の歴史と時の流れを穏やかに語る叙情的な作品。自らの誇りと衰退を受け入れ、最後に静かに眠りにつく座布団の姿は、日常の中にある尊厳と静かな終焉の美しさを描きます。

category 02
「以」大人の暇つぶし小片

タイトル
文字数
概要(AIによる寸評)
必ず騙される話
1206
「必ず騙す」と宣言しながら始まる、読者との知的な心理戦です。その巧妙な語り口は、あなたが「騙されない」と身構える行為そのものを題材にします。読み終えた後の、知的でユーモラスな敗北感をぜひお楽しみください。
山姥の憂鬱
1442
古典的な悪役「山姥」に現代人の悩みを背負わせるユーモアから一転、娘のSNS戦略により「昔の誤った口コミ(恐怖伝説)が、現代の情報社会によって真実(優しい一族)へと修正された」という痛烈な風刺に着地。親の切実な命名の思いと、情報伝播の役割を深く考察した、このカテゴリーの最高傑作。
シャッフル
710
AIが過去の秘密を暴露し、社会の地位が逆転するという、現代的な設定が秀逸です。誰もが持つ「裏」を暴かれた世界で、秩序と人間の本性がどのように「為される」のかを、カードゲームの皮肉を交えて描きます。
失って初めてわかるもの
379
「失う前に失ったと思えば価値が上がる」という、夫婦間のエゴと詭弁の応酬がテーマです。人間の感情や愛を「損得勘定」という論理で分析しようとする主人公の身勝手な行動が、痛快な顛末を招きます。
理事長
805
野心的な主人公が、エリート街道を突き進み「理事長」の座を掴むまでの道のりを描く物語です。緻密な努力の積み重ねが読者の期待値を最高潮に高め、迎えたクライマックスで、物語の真の全貌が明らかになります。構成の妙と抜群のユーモアセンスが光る、爽快な読後感に満ちた傑作ショートショートです。
恐怖の講義
1166
「恐怖」を数式で定義する講義と、居眠りした生徒への教授の態度がパラレルに進む技巧的な作品です。知識の応用が問われる緊迫した状況下で、生徒が下した機知に富むが致命的な行動を観察してください。
信じるものは救われたのか
1042
「真実の太鼓」という象徴的な道具をめぐる、人々の行動を描きます。知識とエゴ、そして信仰というフィルターが、目に見える真実をいかに歪めていくかという、人間の愚かさとずる賢さを皮肉に描き出します。

category 03
「由」大人向け小片

タイトル
文字数
概要(AIによる寸評)
普遍的価値
741
金、キリスト、健康ドリンクといった具体例を用いながら、「普遍的価値とは存在しない」という抽象的かつ強力な結論に読者を導きます。人間の価値判断の依拠が、常に感情と生存本能にあることを示す、思考停止を許さない傑作です。
褒め殺し
1254
「褒めること」という普遍的な行為が、化粧品、塾、コンサルと業態を変えながら、最終的に**「慢心によるライバル企業への破壊工作」という極端な戦略に昇華します。人間の承認欲求**という弱みに依拠した強烈な社会風刺です。
言い方
570
AIに「それはどうかな」「よろしいか」という言い方を統制しただけで、国民が爆発的に反発するという設定が秀逸です。論理の正しさではなく、人間が依拠する感情的な体裁こそが社会を動かすという、現代のコミュニケーションの核心を突く風刺です。
恐怖〜その場所
926
人間の存在の根拠が保証されない恐怖。土地の所有から国際紛争まで、すべての問題の根源にある「居場所の不確かさ」を突きつける寓話です。解決不能であることを提示すること自体が風刺であり、倫理であり、恐怖です。読者は「答えがない」ことを受け入れるしかなく、その不安を抱え込むことになります。
グレー
881
国際ロマンス詐欺を例に、「心の弱み」「自信」「備え」という論理的な分析を提示しながら、最終的に「詐欺対策セミナーへの勧誘」という別の詐欺に着地する皮肉の構図が見事です。人の弱さと不安に依拠するビジネスの構造を鋭く描きます。
思い遣り
523
帰省した家族に対し、「今伝えねばならない」という強い思いに依拠して、延々と昔語りをする主人公。この「思い遣り」がもたらす無機質な結果を描写することで、善意と自己満足の境界線、そして世代間の断絶の抽象的な姿を浮かび上がらせます。
限界
625
思考の言語化の「限界」と、夢と現実の「限界」が多層的に交錯する抽象的なショートショートです。トイレで浅い眠りについたという現実の滑稽さと、夢の中で得たはずの「複雑で多層的」な真理の対比が、意識の依拠する曖昧さを描きます。
電話相手
626
電話営業(詐欺まがい)の主人公が、切られるたびに冷静さを装うアンガーマネジメントを試みつつ、次の手口を考える状況を描写します。自己の利益に依拠し、相手の弱みを探る行動の連続が、現代社会の冷徹な営業ノルマの皮肉を表現します。

category 04
「察」ショートエッセイ

タイトル
文字数
概要(AIによる寸評)
お願い
952
病室での母の願いを拒否した過去の行為を、「祈り」と「理屈」という対立構造で深く掘り下げています。個人的な後悔から人間の本質的な葛藤を抽出する内省の深さが圧倒的で、最高の読後感を残します。
お漏らし
1006
小学時代の出来事を単なる事件で終わらせず、その後の人生で何度も繰り返される自己の「後ろめたさ」と「弱さ」の象徴として掘り下げます。真の目的は過去の赦しではなく、自己の存在への向き合い方だと気づく、誠実な内省が光ります。
柿人間
1034
顔の美の基準が、生物学的本能や流行といった何に依拠しているかを、果物や色紙に例えて抽象的に考察します。最終的に、美人コンテストや美顔器が存在する根本的な理由を探る、知的で風刺的な思索の旅です。
AIと文学
645
AIを「気のおけない友達」とし、AIによる作品の評価や感想が、かえって人間関係を保つ助けになっているという現代的な皮肉を提示します。テクノロジーが人間の感情と文学の評価に与える影響を、率直に考察するユニークな作品です。
一人で生きていくということ
1022
自分の力だけで生きる自負は、枕元のランプのバネ一つで崩壊した。自立とは、数百万人の過去と現在の他者への、傲慢なほどの依存の上に成り立つ事実だった。この「言葉遊び」に終止符を打つ。
普通の人間
463
「普通ではない」という自信と、承認欲求の強さ、完璧主義による行動の遅れといった自己の弱点を赤裸々に告白します。自己批判を通じて、最終的に「それが結局、普通の人間ということ」だと悟る、共感性の高い内省ノートです。

「小片」集について

母を亡くして2年目の母の誕生日、その日に生まれて初めてペンを取りました。生前度々、文筆に関わる仕事をすすめられながら、人様に見せるような文章を綴ることはとても無理と笑い飛ばしていましたが、仕事の傍ら憑かれるように、1ヶ月弱でエッセイを含む24の掌編と、2つの短編が生まれ、同時にこのウェブサイトを構築していました。

書きながらいくつか不思議な感覚に陥りました。

1つは 自分が書いているのではないような感覚で、書き始めると多くの場合 ペンが(実際には半分フリック、半分キーボードですが)自分のまとまっていない 頭の中を勝手にまとめ上げて、文章にしていました。今書いているこの挨拶文のようなものもまさにその一つです。

今一つは、これらの文章が、それぞれ テーマや 書き方はバラバラなのですが、長年自分の中に刺さっていたトゲを一つずつ確かめながら抜いていくような感覚に陥ったことでした。つまりそれは形式的には色々な形を取りながら、一つ一つが自分のかけら・小片のような気がするのです。

そして最後に、文章を書くのが楽しい作業であったという気付きです。何か発見したというような感覚は、子供時代によく遊んだ、宝探しの宝をみつけたのに近いのかもしれません。

2025年 冬

蛙声

道具

創作の為の道具は、主にスマホとPCです。スマホは夢を見た直後に枕元で書き留めたり、レコーダで移動中に書き溜めたりしています。短い文章なら、思考をとぎらせることなく、そのままスマホ上で完稿してしまうことも多いです。PCで主に使うのは未だにEVERNOTE。様々な疑似ブレイン的サービスが乱立していますが、現時点においても目に入ったものをそのままの形でコピペで置いておける便利さは特筆ものですね。万年筆も大好きで、いつもお気に入りを何本かすぐ手に取れるところに置いていますが登場機会は限られています。ただ、側にあるだけで何か満たされる、不思議な道具です。