限界:蛙声小片集-
ショートショート・掌編・フラッシュストーリー・エッセイ

蛙声ASEI小片集

カテゴリ:03由

限界

更新日:2025.12.02

文字数:623字

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ぼくはずっと考えていた。

あれなのか、これなのか。

何が伝えたいことがありそうなのに、うまく言葉にならない。

いかんいかん、考えながらつい浅い眠りについてしまっていたようだ。

ですからね、つまりこういうことなんです。

男はつとめて冷静に説明してくれようとしたが、

いっこうに内容が解せない。

やがて彼は、話ながら顔は魚となり、

口から泡を飛ばし始めた。

そしていつの間にか、

僕は一片の粒となって、

漸くそこを抜け出したと言うわけだ。

さっぱし、

何を言っているのかわからない。

本当はもっと複雑でスリリングで多層的だった。だが思い出せない。

会場には大勢の人がいた。

どうやら見つかるとまずいらしい。

身を潜め、

ドキドキしながら

約束の場所にたどり着いた。

「やっと会えましたね」

逃げ惑う必要など何もなかったかのように、

僕は歓待を受けた。

でも実際には家族を待たせていたのだ!

そうだ、川岸の見晴らしの良い場所で、

妻は景色を見に外に飛び出し、

息子は空気を吸い、

僕は近くのトイレに入ったところから、

とんだことに巻き込まれたのだった。

どうやら限界がきたようだ。

名残惜しく、僕は遂に起き上がり、トイレに向かう。

2025年11月5日午前1時53分

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