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緊急速報が流れた。
AIが過去の相談内容をすべて公開。
誰もが不安に思っていたことが現実になる。そして、すべての人間には裏があることが露呈した。
高潔な政治家は過去の経歴詐称を相談し、
清貧な女優はライパルを蹴落とす方法を相談していた。
高名な学者は論文の捏造の隠蔽工作を相談し、
会社社長は資産の私的流用がどの程度の罪になるかを調べていた。
社会的な地位や名声が高ければ高いほど、知られてはならない事実が多く、致命傷となった。
そして世界秩序のシャッフルが行われた。
スネに傷が少ないほど良いとされ、地位が低かったものはおおよそ高い方へ、地位の高かったものはおおよそ低い方へと、配置転換が行われた。
無論一般人にも同じような過去の傷はあるが、要職や地位の高いものがスネに傷を持つのはおかしいという社会のルールが相対的に課された結果、世の中は全てひっくり返った。そして、時間が経つとまた地位が高いものは地位が高いように振る舞うようになり、またまた シャッフルが行われた。
そうして世界は回っていくのだ。
最後に勝ち残るのは誰か。
お母さん、このカードゲーム面白いんだよ!少年はキャラクターカードをシャッフルしながら、自慢げにルールを説明した。
性格、知能、地位、悪知恵、資産、評判などのステータスが割り振られ、合計はどのキャラクターも同じだが、緊急速報カードが切られると、高位キャラクターほど悪事カードを引く可能性が高まる。
あらあら、現代版大貧民みたいね。
母は内職の手を止めて、セクハラで職を失った旦那を横目に見た。