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普通トゲ人間と言うと、トゲトゲのバラのような人間を想像するかもしれないが、このトゲ人間はトゲが刺さりまくった人間、トゲが逆向きにめり込んでいる。
どうやら、他の人には普通の人に見えるらしいが、僕にだけそのトゲが見えるみたいだ。 これは人の痛みがわかる人間になれという、母の教えが形になったものだと、大変喜ばしく思う。
早速あっちから、トゲ人間が歩いてくる。あちゃあ、血だらけだ。非常に可哀想なので、背中に刺さっている一番大きなトゲだけ抜いてあげることにした。出血多量となった。一応救急車は呼んだが、トゲが見えていない人には今までとおりに見えるので、なぜ呼ばれたのかは本人にも救急隊員にも、誰にもわからない可能性がある。
なるほど、大きなトゲは抜くなら抜くで、処置をしないと、ただ抜くだけでは駄目らしい。
それにしても、人によってトゲの刺さる角度、深さ、大きさ、本当に様々だ。
小さなトゲで埋め尽くされてる人もいれば、でっかいトゲひとつで瀕死の状態に見える人もいる。
普通サイズのトゲが、均等についている人がいた。
これくらいのトゲなら出血多量はないだろう。早速、十本くらい抜いてあげた。感謝して欲しいところだが、なんとその人は、なんてことするんだと怒り出した。どうやらその人は、自分のトゲが見えていたらしい。
聞くと、このトゲがあるから自分は優しくなれるのだと言う。
なるほど、普通のトゲはトゲで、これも勝手に抜くのは良くないらしい。
あっちから、トゲを逆向きに生やした、いやつまり、バラのような人が現れた。
これは刺さってるわけじゃなくて、生やしてるわけだろうから、そのままにした。
髭を生やしてるようなものだろう。
すると、突然そいつが、殴りかかってきた。
「何をジロジロみてやがる」
なるほど、外向きのトゲは抜かないとだめらしい。