※Google日本語、Android端末などで、仕様上「一時停止」が効かない場合があります。
あなたが今いるその場所は、あなただけの場所だと思っているかもしれないが、そこには必ず前の所有者がいて、更には前の前の所有者がいて、別の町があって、誰かのお墓であって、かつては誰か偉い人の領土であって、沢山の人や動物が往来し、そして自然であって、沢山の植物が根を張り、または何者の生をも拒む未開の地であって、誰のものでもなかった。
◇◇◇
ある日男が訪ねてきた。
かつてそこは僕のものだった。退いてほしい。
どくだって?一体何の権利があってそんなことを言うんだい?僕はちゃんとお金を支払ってここを買ったんだよ?それに一体僕はどこに行けばいいんだい?
男は少し軽蔑したように私を一瞥すると、
ふふん。ちゃんと調べはついているんだ。かつてここは、我が家が繁栄した土地であって、奪われた土地なんだ。だから返してほしい。お金を支払ったって?僕はもらってないよ?一体誰に払ったんだい?随分と無駄なことをしたもんだね。とにかくここは僕の場所だ。どこかに行って欲しい。
だから、一体どこに行けばいいって言うんだい?僕はここ以外にいる場所はないんだよ。
男はまたもや馬鹿にするような目つきで、
ふふん。それは君ね、言っちゃいけないことだよ?それを言うってことは、君は僕がどこに行くかも保証しなきゃいけなくなるんだよ?じゃあ一体僕がここを離れてどこに行けばいいと言うんだい。
そんなことは知らないさ。突然訪ねてきて何を言ってるの?
だからそれと同じことなんだってば。分からない人だな。どうしても出て行かないと言うなら強制的に出て行ってもらうけど。。それは本当はあまりしたくないんだけどね。
いいよじゃあ警察に行こう。
ふん何だって警察、警察って。警察は何でも解決してくれるのかい?すごいね。警察は君のママかなんかなの?
だってそれがルールじゃないか。
ほー、ルール。じゃあ、僕の土地を勝手に使ってる君はルールを犯してないんだね?同じことじゃないか。
警察がやってきた。
民事不介入だそうである。
一体どう解決すればいいのか。楽しかった僕の人生は一気に暗転した。