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娘が中学2年の冬のことだったと思う。
家に帰ってきた娘がおもむろに、
「パパ、サンタっているよね?・・・」
と泣きそうな顔をしながら聞いてきた。なんと、学校で友達たちと言い争いになったらしい。
おおよそ中学にもなると、サンタの正体については気づいているのが普通で、そんな話はわざわざ娘としたことはなかったけども、もしかすると育て方を間違えたのかと心配になった。と、同時に、なんとピュアな子供に育ったのだろうと、感動も覚えた。
ご多分に漏れず、我が家ではクリスマスになるとツリーを早々に出してきて、リビングに据え付ける。本物のモミの木を使えるような家ではないので、納屋の奥からツリーをしまった大きな箱を取り出してリビングまで運び、枝を刺しながら組み立てる。すると毎回緑色の小さな葉っぱに見立てたプラスチックの小片が当たりに散らばり、それを片付ける。そこまでが例年1セットで父親の仕事。そのあとは、子どもたちと一緒に、綺羅びやかな電飾や、昔から大切にしているガラスのオーナメント、木製のソリやサンタの飾りもの、雪に見立てたふわふわのワタ、などを取り付けて、最後に特大のスターをてっぺんにつければ完成だ。
暗い部屋の中で、クリスマスツリーの点灯式。
毎年のことながら、一気に家がクリスマスモードになり、気分も高揚する。クリスチャンではないけども、ちゃんと高揚する。それは、お約束のサンタのプレゼントを受け取るまでの、1年でも最高にドキドキする、そして待ち遠しい時間だ。
子供の頃、なんとかサンタの正体を見極めようと、チャレンジした。でも、いつも決まって日付が変わるころにはしっかりと寝入ってしまい、ついぞその正体を見定めることはできなかった。そして、そのときのワクワク感は、大人になっても続いている。クリスマスは楽しいものだという記憶が身に沁みているのだ。
24日の晩遅く、子どもたちが寝静まったのをしっかり確認してから、サンタはやってくる。サンタさんへの願いが書かれた手紙を読み、子どもたちがどれだけ喜ぶだろうと、その笑顔を想像しながら、プレゼントをツリーの下にそっと置く。そして、
「そう、サンタは間違いなくいるんだよ。」
多分友達も、大人になればわかるはずさ。本当のサンタは誰なのかって。